スーパーアグリF1の撤退に佐藤琢磨を想う

学生時代、F1中継を熱心に見ていた時期がある。夏の北米2連戦は時間帯が他の番組に影響されない深夜から朝方の生中継となるため、特に楽しみにしていたものだ。

その頃の印象から、僕は佐藤琢磨が好きではない。彼は突発的に非常にアツい走りをするが、クレバーではない。車の扱いは決して丁寧ではないし、冷静さを失ってチャンスをパーにしてしまうこともしばしば。その一方でレースの外ではやたらと落ち着いた誠実な受け答え。ファン受けはするが、レースを見ている限りでは大成しないドライバー、という印象を持っていた。

スーパーアグリF1は最初は「佐藤琢磨のために作られたホンダの2ndチーム」と言われていた。実際はどうかわからないが、BARホンダの一番いい時期に自らのチャンスをことごとく潰していたのにも関わらず、彼のF1でのシートを確保するまでチームまで作られたのだとしたら、今回のスーパーアグリF1を撤退に追い込んだホンダの決断には、それなりの重みがある。

とはいえ、今の人気ぶりだとホンダは佐藤琢磨にもう一回くらいチャンスを与えるんだろうか。もしそうだとしたら、そのときこそ成長した姿を見せて欲しい。

佐藤琢磨を批判する人はほとんどいないが、僕は「ダメなドライバー」だと思っている。いくら速さがあっても成長しないのならば、若い可能性のあるドライバーにシートを譲るべきだ。