オーディオテクニカ Bluetoothオーディオレシーバー「AT-PHA05BT」レビュー

スマートフォンBluetoothがほぼ標準搭載されたことにより、Bluetoothを使って無線で音楽を聴くためのBluetoothオーディオレシーバーも結構選択肢が増えてきました。

Bluetoothオーディオレシーバーって、使ってみるとものすごーく便利なデバイスなので、電車の中でスマートフォンiPod touchで音楽聴く人はできる限り導入した方がいいです。例えば、スマートフォンをポケットや鞄にしまっても、ケーブルがどう繋がってるかとか考えなくて良くなります。ウォークマンiPod nano/classicでも導入は可能ではありますが、ウォークマンだとせっかくの高音質が生かせなくなるし、iPod nano/classicだとiPod側にドングルを付けなくちゃいけないのでちょっと微妙ですけど。

最近だと再生中の曲名表示が可能、ということでソニーエリクソンのNW600という製品が人気だった感じでしょうか。その前だとソニーのDRC-BT30(こちらは生産完了となっており、同等製品がイヤホン付属のDR-BT63EX/DR-BT63EXPとして販売開始)が「安心のソニー製」ってことで鉄板だったかもしれません(僕は買いました)。

そんな中現れたのがオーディオテクニカのAT-PHA05BTです。ヘッドホンアンプ機能搭載、 再生中の曲名表示が可能(AVRCP 1.3対応機器のみ)、誤動作を防ぐHOLDスイッチ搭載、となっており、NW600に代わる鉄板となりうる製品と言えます。

自分はこれまでDRC-BT30をずっと使ってきたんですが、スティックボタンの誤動作はやっぱり気になっていたし、iPhoneiOS5になってAVRCP 1.3対応になったので買ってみることにしました。NW600は持っていませんので、DRC-BT30との比較で書いていきます。

デザインとサイズ

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(写真に写ってるもののうち、上がDRC-BT30、下がAT-PHA05BTです。)

下の写真も参照していただきたいのですが、DRC-BT30より長さはあるものの、厚みは薄くなっています。

1行表示の有機ELディスプレイを表示しているため、ディスプレイがある面はクリアなブラック、サイドに明るめのグレー、背面が濃いめのグレー、というカラーリング。形状がスクエアな上でカラーリングも地味なので、それほど特筆すべきところはありません。限定版のAT-PHA05BTLTDというモデルでは真ん中のグレーの部分がレッドになるそうですが、もっと明るい色のモデルがあっても良いように思います。値段が高い機種なので、カラーバリエーションは難しい、ということなのでしょうか。

操作系

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DRC-BT30と同様に大きなクリップが付いているので、鞄のストラップなどに取り付けることが可能です。ケーブルが60cm以下のショートコードのイヤホンを用意すると便利なのですが、最近はソニー以外は選択肢があまりないのが残念なところ。

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DRC-BT30は再生開始と一時停止、曲スキップ、音量調節をスティック型のスイッチで行えるようになっていましたが、クリップで服に付けているとふとしたことで誤動作が連発していました。MW600についても、ボリュームコントロールがタッチセンサーになっているため細かい音量調節がやりにくい、という問題があると聞いています。AT-PHA05BTはオーソドックスなボタンがサイドに付いており、誤動作はまず起きません。ボタンの形状はちゃんとボタンごとに違うので、慣れれば触った感触を頼りに見ないで操作することも可能です。

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さらに、電源スイッチと共用のHOLDスイッチもついています。他社製品でのユーザーの要望を聞いて付けたのでしょうが、個人的にはAT-PHA05BTでは誤動作そのものが起きにくいスイッチなので不要かなぁ、と思います。DRC-BT30には欲しかったですけどね。

ディスプレイ・曲名表示(AVRCP 1.3対応)

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AT-PHA05BTはAVRCPの1.3に対応しており、再生中の曲名を本体の有機ELディスプレイで表示することができます。日本語表示も可能です。

日本語とアルファベット以外では文字化けすることもあるようです(ウムラウトの入った文字が表示できなかった)。曲名を表示するためには、送信する側の機器も対応している必要があります。iOS5になってiPhone/iPod touchAVRCP 1.3に対応したので、対応機器を持っている人は結構多いはず。曲名は一回表示するとすぐ消えてしまうのですが、ディスプレイがある面についている保留ボタン(電話マークのボタン)を押すと再表示ができるようです。

AT-PHA05BTは本当に曲名しか表示できないので、実用性という意味ではあまり意義を感じない、というのが正直なところ。アルバムタイトルとか、曲の残り時間とか、いろいろ表示できると見る機会も増えるんだと思いますが。

でも、本体にディスプレイが付いていると、レシーバーの動作状態を把握するのに便利。DRC-BT30の場合、LEDの光り方で判別、って感じだったのでわかりにくかった。

充電など

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充電は蓋の奥にあるmicroUSB端子で行います(写真に映ってるケーブルは付属のケーブルじゃないです、普通の黒いケーブルが付属しています)。DRC-BT30と同様にケーブルを接続した瞬間に電源が切れて充電モードに入っちゃうので、充電しながら使うことはできません。

この仕様、使い勝手的にはいいと思うんですよねぇ。帰ってきてケーブル刺せば、自動で充電モードに入るわけなので、「帰ってきたら充電用のケーブルに繋ぐ」ことを習慣づけすることで電池切れのシチュエーションを減らすことができます。

バッテリ駆動時間については、カタログスペックで約8時間だそうです。毎日充電してれば、一般的な使い方においてバッテリ切れに遭遇することはないでしょう。

マルチペアリング

AT-PHA05BTはDRC-BT30と同様にマルチペアリング対応により、最大8台までの機器を「登録」できます。 同時に接続できるのは1台まで、複数台同時に接続できるマルチポイント接続は不可能。

で、マルチペアリングによって複数の機器を登録したとき、どういう順番で接続されるか、ってのは、わかりません。AT-PHA05BT側で選択する機能もありません。出力する側の機器で工夫することになります。

基本的に割り込みで接続されることはないようなので、「AT-PHA05BTの電源を入れるとき、接続したい機器だけBluetoothをONにしておく」ということです。Androidスマートフォンの場合ウィジェットや通知バーから簡単にON/OFFできるようになっていますし、iPhoneも(iOS5.0では)Bluetooth設定画面へのショートカットを作ることができますので工夫しましょう。

音質

AT-PHA05BTは「ヘッドホンアンプ」というのがウリになっており、音声出力はBluetoothオーディオレシーバーの中では強力なものになっています。ただ、「ヘッドホンアンプ」という言葉のイメージからすると性能的には弱くて、手元のER-4Sを繋いでみた感じでは、モバイル用途を想定していない能率の低いイヤホンを鳴らすにはパワーが足りない気はします。最近のiPod/iPhoneに接続されることを想定した高級イヤホンなら問題ないですが。

あと、無音時の「サー」というノイズはそれなりにあります。これはモバイル用の小さい機器(特にディスプレイを搭載するもの)では割とどうしようもない問題と言えます。

音自体はDRC-BT30と比較して明らかに良くて、低域まで割としっかり音が出ます。これは良いイヤホンを繋げると顕著に差が出ます。モバイル用途を想定した一般的なイヤホン・ヘッドホンを接続する場合において、Bluetoothオーディオレシーバーのこれまでのイメージを覆す音質、と言っていいと思います。

ちなみに、イコライザ機能も付いていて、専用のボタンが用意されていますが、個人的にはオフにして使うもんだと思っているのでスルーします。イコライザは切った方が音がいいと個人的には思います。

まとめ

まとめると、AT-PHA05BTは現状での最新機能を搭載した上で音質に配慮し、使い勝手の面でも既存機種の問題を研究して作られた、非常に良いモデルだと思います。機能面ではAVRCPの仕様でもっとできることがあるはずですが、他も似たようなもんなので、仕方がありません。

ちょっと高いですけど、Bluetoothと高級イヤホン、という、やや矛盾した組み合わせで音楽を楽しみたいなら、現時点では文句なしにオススメのBluetoothオーディオレシーバーです。