MDR-EX800STレビュー(その2、音質について)

MDR-EX800STのレビュー続き。音質について。

MDR-EX800STは 「アーティストにありのままの音を」がコンセプトになっており、日本のソニー・ミュージックのスタジオのモニタースピーカーに合わせて音が作られている、とのこと。

通常、音にこだわったイヤホン・ヘッドホンというのは特定のジャンルが得意になるように作られることが多いわけですけど、MDR-EX800STはまさに「今」、スタジオで音楽を作っている人を想定して音が決められている。

でかいスタジオらしいのでオーケストラとか生演奏ものが多かったりするのかもしれないのですが、必ずしもそうじゃないと思うのですね。例えばJ-POPだったりアイドルものだったりに使われる可能性だってあるわけで。そう考えると、現代の流行ものの音楽を聴くことも想定して作られた高級イヤホンって、実はそんなにないんじゃないかなぁ、と思ったりもする。

そして、スタジオのエンジニアではなく、アーティストがスタジオモニターと同じ音を聴けるように、と作られているというのもポイントでしょう。つまり、一般的なモニター用オーディオ機器と違って、音のアラを探す測定器ではないわけです。音のおかしいところを探す機械ではなくて、より良い音楽を作るための機械、とも言える。

これらの特徴を鑑みると、普段使いのリスニング用イヤホンとして使っても問題がない、はずです(割と強引)。

実際に聴いてみても、「録音がしょぼい」と思われがちなJ-POPなどの流行ものの音楽を、非常に楽しく聴かせてくれます。これは割と珍しいなぁ、と個人的には感じました。良い録音はより良く、悪いものは悪く聴かせるのが高級なオーディオ、というイメージを壊してくれる感じ。

僕はクラシックとかほとんど聴かないんだけど、オーディオにそれなりにお金をかけて楽しいと思ってるんですが、そういう話をすると、大した音楽聴かないから別にいいよ、的なことを言われることもある。でも、そんなことはないと思うのですよ。聴くジャンルがなんだろうと、オーディオに金をかけることには意味がある。良いオーディオ機器は音楽を楽しく聴くためにある、そう思うのです。

さて、うんちくとかはこれくらいにして、音質のレビューに戻ります。

言葉の選択が難しいですが、低音はしっかりと、それでいて不快感なく再生してくれます。僕は低音がボコボコとうるさいのは嫌いなのですが、MDR-EX800STは「重低音」というキーワードで語られること低音とは異なる、不純物の少ない低音が鳴ります。「ボッ」っていう濁った低音ではなく「ドッ」っていう澄んだ感じで、それでいてしっかりと鳴る。この辺りは高級なイヤホンならではの部分と言えます。

あとは、広いスタジオに置かれている大型スピーカーの音の再現を目指しただけあって、イヤホンとしては横に広い音場を再現します。いつも聴いてる音楽でも、音がより広い空間で、いつもより遠くで鳴ってる感じがして、これによっていつもよりたくさんの音を聴き分けることができる感じがします。曲によってはやりすぎな感じに聴こえなくもないのですが、単純に楽しい。これがMDR-EX800STの音質的な大きな特徴と言えるんじゃないでしょうか。

そんなわけで、デフォルト状態でも音質面では非常に満足…したのは、まあそうなんですが、付属するケーブルは1.2mという長さのもの、クリップで胸のあたりに留めたBluetoothレシーバーに挿すには長すぎる。ケーブル巻を使うことで短くすることはできたものの、見た目は悪い。L字型プラグも見た目的に気になる…。

まあ、ここまで来たら試しに買ってみるしかないよねぇ、、、ということでMDR-EX1000に付属する0.6mのショートケーブルであるRK-EX1000SPを注文したのでした(まだ続く)。




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