iPad miniその他発表会雑感

iPhone5の時もそうでしたが、ほとんど事前のリーク情報通りiPad miniが発表されました。Wifi 16GBの一番安いモデルで28800円。これを一般的なユーザがどう思うか、いまいち想像がつきません。ユーザがタブレットそのものに対する興味を失っていなければ、充分魅力的な値段だと思います。

一方で、ガジェットマニアにとってはAndroidタブレットでの低価格化の流れを追っただけに見えるiPad miniは非常に不評なようです。Nexus7は16GB19800円でさらなる値下げも噂される状況、普通サイズのiPadは持ってなければモグリ、って人たちなのですから、そりゃあ欲しがりません。

日本国内で言えば、iPadもそれほど売れていたとは言えず、タブレットの市場そのものが盛り上がっているとは言い難い状況です。いっそ安いiPadタブレット市場が盛り上がってくれれば、とすら感じてしまいます。

予想外と言えるのが、通常サイズのiPadの更新。新しいiPadをほぼなかったことにして、A6Xチップ搭載にLightningコネクタで出たのですから、「Retina!Retina!Retina!」と騒いで買った人はたまったものではないでしょう。iPad、奇数世代モデルははずれ、でしょうか。初代iPadは早くもOSアップデートが止まりましたし、順当なモデルチェンジ過ぎるので、初代iPadユーザの買い替えに最適そうです。

Mac関連では、噂されていた13インチRetina MacBook Proが発表になりました。個人的に期待していたディスクリートGPU搭載はなく、通常タイプの13インチMacBook Proと同様にCPU内蔵GPUで、縦横2倍の2560x1800ドットの高解像度ディスプレイを描画することになります。出力ポートは15インチRetinaと同じですが、おそらく出力可能なディスプレイの数は制限されるはずです。重さは1.6kg台。いまいち盛り上がりに欠けるスペックです。

まあ、Retina MacBook Pro買うならハイエンド感のある15インチだよねー、と、僕は思います。13インチRetina MacBook Proは、ハイエンド感が足りません。カスタマイズしてSSDを512GBにすると20万になってしまうので、15インチ買うのとあまり変わりません。買うならモバイル用と割り切って一番安いモデル、でしょうか。せめてディスクリートGPUは付けて欲しかったなぁ。

予想外だったのはiMacのモデルチェンジ。光学ドライブを外し、縁の周りだけは5mmという薄さを実現。後ろに膨らみがあるのですが、その膨らみを隠した状態での会場のどよめきと、膨らみを見せた時のがっかり感の落差が印象的でした。光学ドライブ無しはひっかかるところですが、基本的には順当なスペックアップです。

Mac miniはそのままIvy Bridgeへ。さらりと流してましたが、1年で更新されるのは割と珍しいことなので、ほぼ死に体となっていた時期と比べ、売れ行きは順調なのかもしれません。Mac miniですが、購入を検討している人には、一人暮らしの人か、リビングのTVに繋げたい、という人が多いような気がします。

全体の印象として、非常に良いバランスになっていた現行の製品ラインを崩し、再構築をしている途中の苦しみ、のようなものを感じます。今年はたくさんの新製品がありましたが、結構首を傾げる内容のものがあるのは気になります。市場に言われるがままのiPad mini、半年でモデルチェンジしたiPad、ユーザメリットの感じられない見た目だけのiMacのフルモデルチェンジなど、製品としてのわかりやすさ、一貫性、みたいなものが失われはじめているようにも思えます。

とはいえ、Appleはアメリカの会社。特殊な日本市場とは違う部分が多々あります。PCでは光学ドライブはどんどん不要になりBDドライブを搭載したPCがほぼ皆無だったり、タブレット市場がiPadKindle FireやNexus7などの廉価タブレットの相乗効果で盛り上がり続けている、みたいな事情はどうしても実感することはできません。なかなか難しいところです。