Chromecastはレンダラー型デバイスとしてキャズムを超えるか?

GoogleAndroid OSの新バージョンである4.3 JellyBean(名前は変わらず)と、新しいNexus7、そしてスティック型のSTB端末であるChromecastを発表しました。

Androidはとりあえず今は興味なしなので、Chromecastの話。

ネット上の様々なコンテンツをTVの大画面で見たい、自分が撮影した写真や動画をTVで見たい、という需要は一定数存在します。これを実現する方法は、ざっくり2つのアプローチに分類されます。なお、アプローチの名前は僕が勝手に呼んでいるものです。

1つめはTV画面にGUIが表示され、画面を見ながら操作する「クライアント型デバイス」という考え方。

いわゆるスマートTVと呼ばれるもの、据え置き型のゲーム機のネット機能、Android STBなどがこれに該当します。このアプローチの問題は入力デバイスとデバイスのコンピューティング性能です。TV画面で快適にポインティング操作をする方法、文字入力する方法、というのは「発明」されていません。文字入力のためにリモコンの裏がキーボードになっているものが割と多いようですが、僕はこの入力方法は醜悪の極みだと思います。性能面でも、ゲーム機の世代交代がこれから行われること、TV向けのSoCよりもスマートフォン向けのSoCの方が基本的には高性能なため、最新スマートフォンのように快適に動くモノは現状皆無。

ただ、現状VoDサービスの利用者が使っているデバイスのほとんどがこの方式で、海外では成功したVoDサービスがあることを考えると、この「クライアント型デバイス」は用途こそ限定されるものの、ある程度受け入れられている、と言えます。

2つめはTV画面にはコンテンツだけが表示され、基本的な操作は画面を持った別のデバイススマホタブレットなど)で行う「レンダラー型デバイス」。Apple TVのAirPlay/AirPlay Mirroringが代表格で、MiracastやWiDiといった規格もあります。DLNAにもDMR(デジタルメディアレンダラー)というデバイスが定義されています。Chromecastは、このレンダラー型デバイスの1つ、と言うことができます。

しかし、この「レンダラー型デバイス」はまだ流行った試しがありません。Apple TVは一部のマニアには大受けですし、僕も大好きなのですが、セールス的には「低迷」という評価が一般的。MiracastやWiDiは規格としてまだまだ広まっていない状況。

そこに投入される期待のレンダラー型デバイスがChromecast。これまでのレンダラー型デバイスと比較したときの目新しい点は下記の通り。

  • レンダラー型デバイスでありながら、操作するスマートフォンをChromecastと同じネットワークに接続しておく必要がない
  • HDMI CECでChromecastからTVの電源を入れたり、一部リモコン操作をしたりできる
  • ユーザの手でサービス(アプリ)を開発できる(開発しなくてはいけない?)

発表時、Twitter上での反応は割と冷静だった気がしますが、詳細がわかるにつれて一部が騒ぎ出したのは、これらのChromecastが持つ特徴が、新たなTVを考えていく実験場として魅力に映るからかもしれません。

だって、仕組み的にはインターネット上のサービスから自由にTVを制御できるんですよ?そんなデバイス、今まで世の中になかったでしょう?

実用上は、スマートフォン内の写真を表示するときですら何らかのWebサービスの力を借りなければいけなかったりするので、Apple TVなどとの併用は必須になりそうですが、面白そうなので欲しいです。Chromecast。