ウォークマンMシリーズ「NW-M505」ブラック〜不満もあるが唯一無二の存在〜

16GBの容量を持つウォークマンでありながら、Bluetoothヘッドセットにもなる。久しぶりの「スティック」形状のウォークマンであるMシリーズ。
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音楽プレーヤー付きの高音質なBluetoothヘッドセット、というのはほぼ唯一無二の存在。通勤時の音楽プレーヤーとして使っている32GBノiPhoneには10GB以上の音楽を入れていて、ストレージがかなりカツカツになっていたので、iPhoneのストレージを空ける、という目的も含めて、購入を決断しました。

音楽プレーヤーとしてどうか?

フォルダを辿っていくUIは一般的で悪くないと思いますが、操作系や表示系は貧弱なため、快適とは言い難いです。3行しかない液晶はたくさんの曲の中から目的の曲を探すには不向きです。
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ウォークマンの「伝統」と言ってもいいジョグダイヤルは、通常時は曲送りの機能が割り当てられていますが、上の写真のように引き出すことができ、フォルダ(アルバム)単位でのスキップができるようになっています。メニューのフォルダ階層とも連動するため、結構便利。

ただ、ジョグダイヤルは比較的ストロークの長いスイッチであるため、長押ししてスクロールしたときに止めにくく、ナビゲーションには不向き。くるくると回る「ホイール」であれば3行表示でももう少し良いナビゲーションが行えるような気がします。

さらに、本体のスイッチが少ないため、リピートとシャッフルのオンオフがメニューに入っているのは「あり得ない」レベルのUIの問題。この問題だけでユーザによっては「シャッフル再生専用」にしてしまうのではないでしょうか。どこかのボタンを長押しするとショートカットを出す、みたいなアップデートは難しいかなぁ。

UIの問題は多いですが、iPhoneではほとんどシャッフル再生だったので、個人的にはなんとか許せるかなぁ、というところ。起動時にライブラリ構築のために2-3秒待たされるのが気になる方もいますが、この表示も含めて電源OFFから6-7秒で起動しますので、僕は気になりませんでした。

Bluetoothヘッドセットとしてはどうか?

バッテリの消耗が激しいような気がするのですが、機能面では文句なし。素晴らしいのは、複数のBluetooth機器を登録(マルチペアリング)した上で、接続先をメニューから変更できること。
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マルチペアリングが出来て、メニューから接続先を選べる(変更できる)Bluetoothヘッドセットって、実はほとんどないのです。これだけで買う価値がある。

なお、接続先の機器が対応していれば、再生してる曲の曲名とアーティスト名が表示されます。前使っていたAT-PHA05BTは1行表示で曲名しか出ませんでした。
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表示はiPhoneに接続したときのもの。接続する機器がAVRCP 1.3というプロファイルに対応していることが必要です。iPhoneはOSアップデートでほぼ対応しますが、Androidはちょっと古い機種だと対応してなかったりします。

デザインなど

クリップは別パーツになっているのですが、クリップの色は黒と茶色しかないようで、バイオレットやシルバーでもブラックのクリップが付いているよう。常にクリップを付けて使うつもりなので、ダサいのは嫌、というわけで違和感の少ない黒を選びました。
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サイズをBluetoothヘッドセットであるAT-PHA05BTと比較してみるとこんな感じ。
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Bluetoothヘッドセットとして見ると、AT-PHA05BTも結構大きいと思っていたんですが、NW-M505はもっと大きいです。形状がスクエアなのが良くないのかも。

PCとの接続や充電にはmicorUSBを使います。
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なお、一般的なBluetoothヘッドセットと同様。充電中は使えません。個人的にはこの仕様には賛成です。家に帰って充電を開始したら接続が切れる、っていうのは、使い勝手としてわかりやすいと思うんですよね。

音質

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ウォークマンと言えば、専用のノイズキャンセリングイヤホンとの組み合わせによる「高音質」がウリ。店頭でも確かに一聴して「違う」と感じさせる音なのですが、いざ自分で購入して使ってみると、クリアフェーズなどの信号処理技術も含めて「店頭デモ用」にチューニングされているのかなぁ、という印象を受けました。自分のライブラリを入れてみると、信号処理が外れて変な音になる曲はそれなりにあるし、付属イヤホンの音は高級なイヤホンと比べると大きく劣るもの。

通勤圏内に地下鉄など、定常的なノイズが入る環境があったり、航空機の中などではノイズキャンセリングイヤホンは有効だと思いますが、今どきの関東の電車は結構静かなので、ノイズキャンセリング効果を期待して付属のイヤホンを使うよりも、別途良いイヤホンを使用した方が満足度は高いと思います。

ヘッドフォンアンプ部分の音質について、これまで使っていたBluetoothヘッドセットのAT-PHA05BTと比較すると、より広帯域の音が聞こえてきます。高音も低音も、よりクリアに伸びてる感じ。AT-PHA05BTも、一応「ヘッドフォンアンプ搭載」という音質にこだわったモデルでしたが、(ハイレゾ対応ではないものの)「S-Master MX」を名乗るだけあって、もうワンランク上の音質。現状、最高音質のBluetoothヘッドセット、と言って良いでしょう。

まとめ

久しぶりのスティック型ウォークマンで、さらにBluetoothヘッドセット機能なども搭載する新規モデル、ということで、ところどころ完成度の低さが見え隠れします。ただ、やっぱり音楽プレーヤーと高機能・高音質のBluetoothヘッドセットが一緒になっている魅力は現状他の選択肢がありませんし、Bluetoothヘッドセットとしての機能・音質面での満足度は非常に高いです。音楽プレーヤーの機能も必要だったので、僕は非常に満足しています。

値段はちょっと高いですが、純粋にBluetoothヘッドセットとして使いたい人にもオススメしたい。例えば、音楽プレーヤー機能を外して5000円くらい安くできるなら、そういうモデルがあってもいいんじゃないかと思います。