FOSTEX HP-A4の3回目。音質について。Etymotic ResearchのER-4Sで視聴した感想を基本として話します。
今まで使っていたKORG DS-DAC-10と比較したとき、一聴して差を感じるのがSNの良さとヘッドホンアンプのスピード感、音場の広さ、でしょうか。
DS-DAC-10よりもHP-A4の方がより小さな音の違いまで聴き取れます。DS-DAC-10だと、音がたくさん出てくると少しモヤモヤした感じの音になりましたが、高音から低音までクリアに聞こえますし、音もより広い空間で鳴っているように聴こえます。
SNの良さは単純にDACの性能の差だと思います。DS-DAC-10に使われているのはCIRRUS LOGICのCS4398というチップでダイナミックレンジ120db、一方のHP-A4に使われてるTIのPCM1792Aは130dp弱のダイナミックレンジがあるようです。ヘッドホンアンプにしても、HP-A4の方が強力である、と考えて良いでしょう。
ただ、シングルBA（バランスドアーマチェア）で元々低音があまり出ないER-4SとHP-A4の組み合わせは、最近の自分の使っている機器からすると、低音の量がもう少し欲しいな、というのと、低音があっさりし過ぎている（残響が少なすぎる）印象があります。
音のクリアさでは完全に負けるものの、低音の量を含めた音のバランスとしてはER-4SとDS-DAC-10の組み合わせの方が良かったかも。
HP-A4と相性が良いのは、マルチBAドライバのイヤホンなのかもしれませんね。低音のバランスが強めな印象のある3万円以上のマルチBAドライバならば、良い感じにまとまりそうな気がします。
そうは言っても、ER-4SとHP-A4の組み合わせの音、自分の耳がエージング、つまり慣れれば問題なさそう。実は視聴せずにHP-A4を買ったので、この点は一安心。
ケーブルと携帯音楽プレーヤーとイヤホンを持って行って繋げば良いポータブルアンプと比較すると、PCが必要になるUSB DACは視聴の敷居が高いです。都心のヨドバシでも、店員さんを呼ばないとまともに視聴できないような展示になっています。この辺り、もう少し改善されないものでしょうか。
KORG DS-DAC-10の置き換え、としては目的を果たしているので、購入自体には満足。もっと上のクラスのUSB DAC、ヘッドフォンアンプに手を出すとなると、今度はイヤホンのランクを上げたり、大型のヘッドフォンを用意する必要が出てくると思いますので、こんなところじゃないですかねぇ。
