前々からずっと噂になっていたAPS-Cのα6000シリーズスタイルのフルサイズミラーレス機がα7Cとしてついに発表になりました。
早速銀座などのソニーストアで展示されているようですが、最初の週末の土曜日は結構な人気で、実機を5分触るために1時間以上待つこともあったようです。
混みそうなのは予想していたので土曜日は外出せず、まだ試作機を触ってないのですが、発表されてみると、結構悩ましい機種です。
- 基本コンポーネントはα7IIIがベース、UIなどもフルモデルチェンジのα7SIIIとは異なり、旧来のもの
- 小型化のためにシャッターが電子先幕シャッターのみになっている
- ファインダー倍率が低い
- カスタムボタンが少ない
という感じで、「買わない理由」はいくらでも思いつく機種です。実際、YouTube上には「α7Cを買わない理由」みたいな動画が溢れかえっている状況。
小型化や開発時期の影響と思われるスペックダウンに加え、
- 大型化し続けるEマウントのレンズ群において、合うレンズが少ないのではないか
といった指摘も見受けられます。それはその通りですが、初期ラインナップの35mmや55mmのツァイスは小型ですし、人によっては最近発売された20mmのGレンズや24mmのGMレンズも許容できるサイズとなるでしょう。
当然、事前にそういう批判が出ることはわかった上で、下記のような商品とすることで成立させた感じでしょうか。
- Vloggerに最適なフルサイズミラーレスである -> バリアングル液晶を搭載し、動画撮影時間の制限をかけた上で性能の低いファインダーなどを正当化
- スナップ向きのカメラである -> キットレンズとして倍率を抑えた上で小型化したレンズを用意
おそらく、スナップ向けのカメラ、というだけでは市場規模的に厳しかったでしょうから、ZV-1やα7SIIIの評判が後押しした感じなのかもしれません。
一方で、APS-Cからのステップアップ、というのが言われそうですが、それは明確に間違っているように思います。マイクロフォーサーズを含め、敢えて小さいセンサのカメラを使っている層は「サイズに対する望遠側を中心とした画角のカバー力」に魅力を感じていて、自分の欲しい画角をカバーできるシステムとして小型化しないと意味がありません。
このあたり、Eマウントでも非純正レンズまで選択肢を広げれば、タムロンの28-200mmなどは割とコンパクトで広い画角がカバーできて、レンズの評判も良いので悪くなさそう。広角側も純正ツァイスの16-35mmのF4は結構小さいですね。
また、普段使っているのがAPS-Cの標準キットレンズの場合、サイズ感は実はそれほど差がない場合もありそうで、狭い画角で充分、という人にとっては良い選択肢になるかもしれません。
個人的には、割と期待していたのですが、スペックダウンされているところが、最初のフルサイズとして買うにはいまいちで、とりあえず様子見かなぁ。例えば、メインはα6600+SEL18135で、広角や単焦点をつけるサブボディとしてα7Cを用意するのは悪くないかもと思ったりしたのですが、さすがにアンバランスな組み合わせな気がします。
他のα7シリーズのユーザが、サブボディとして持っておいて、機能面で妥協できるときに荷物を減らすために使う、というのが正しそうです。
さて、どのような売れ方をするでしょうか。