ネタバレを気にせずに「シン・エヴァンゲリオン劇場版」の話をする

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3/8(月)に公開され、3/13(土)に見に行ってきたんですが、ネタバレがはばかられる雰囲気がずっとあって、なるべく触れないようにしていたんですけど、NHK庵野監督のプロフェッショナルが放送され、3/28日には「追告 A」「追告 B」という映像がYouTubeに公開されました。

これまでの公開映像には出てこなかった14年後のトウジ・ヒカリ・ケンスケも写ってるし、SNS上でも見たかった人は一通り見たようなので、そろそろエヴァの話をしようかと思います。

昔話のほうが長いですが、よろしければお付き合いください。

TVでエヴァンゲリオンが最初に放送されたとき、自分は本当に中学生でした。「深夜アニメ」というものがそもそも存在しなかった時代なので、放送はテレ東系で水曜日の夕方6時半。

確か、8話の「アスカ、来日」を見て翌週からビデオで録画することを決め、クラスのアニメ好きなやつが2話から録画しているというので、VHSのビデオテープを借りて2話まで遡り、謎ワードがたくさん投入されて話がどんどんわけがらなくなりつつもそこを面白いと思い(なにせ、リアルに中2ですから)、「おめでとう」と言われて、よくわからないままTV放送が終了しました。

旧劇場版の最初「DEATH AND REBERITH」では新規映像のREBIRTHにおいてTVでは放送できないネルフ職員に対する虐殺シーンが流れたあと、最後に「魂のルフラン」が流れて最高潮に盛り上がったものの、続きの「THE END OF EVALGELION」では何故か映画館の客席の実写映像が挿入された上で、「気持ち悪い」と言われて、やっぱりよくわからないまま終了。

でもまあ、よくわからないけど、とにかく「新世紀エヴァンゲリオン」は2度終わったのです。

僕は普通の高校生になり、そのままエヴァンゲリオンの存在なんて忘れて歳を重ねていたら、大学を出る頃にリメイクの映画がスタート。若干TV版とは異なった展開となり予定を崩しつつも、序と破は盛り上がりました。

そして、3作目として公開されたQで「よくわからない」という感想が連発。個人的に、この感想は非常にネガティブな印象でした。

「なんだ、リメイクしても結局よくわからない感じなのか」と思ってすっかり見る気が失せてしまい、そのままQは見ることなく過ごしてきました。

最後の「シン・エヴァンゲリオン劇場版」が公開されてみると、内容は不明ながら見ている人がみなさん満足していて、しかも「ちゃんと終わる」ようなので、「じゃあ見てなかったQを見てから映画館行くか」となったわけです。

Qを見たのは公開の週だったんですが、「わからない」といえばそうなんだけど、前の破がテレビ版19話「男の戦い」まで+αだったことを考えると、Qも割と24話の「最後のシ者」までを追ってる感じがしました。

TV版では制作が厳しくなって変な止め絵が増えたりしてましたが、誰かがセカンドインパクトからのことをシンジと観客に説明したりして(TV版ではリツコ、映画では冬月)、カオルが死んで、ゲンドウやゼーレの目的の準備が完了する、という流れは、あまり変わっていません。

ストーリーとしては必要なパートですが、そんなに盛り上がるところでもない(僕はTV版でも嫌いじゃなかったのですが)ので、急に空中戦艦のバトルを挿入して盛り上げるしかなかったのかもしれません。

こうして僕は「8年以上待たされる拷問」を受けることなく、Qを見た直後の状態で最後の劇場版を見に行くことになりました。

幸い、事前に何のネタバレも見ることなく(公開されていた最初のパリの戦闘シーンも見てなかった)、「ちゃんと終わるらしい」という雰囲気だけを感じ取って見に行ったので、トウジ・ヒカリ・ケンスケと順番に出てきて普通に感動したし、アヤナミレイ(仮称)が人間らしさを学んで消えるのも若干あざとくも感じたりしつつもシンジの成長を促すという観点では良かったし(あれはプロフェッショナルを見る限りは書き直した脚本の部分なのでしょうね)、ゲンドウが父親としての未熟さを吐露するシーンも共感できるところがありました。

一番「おー」と思ったのは、シンジとゲンドウが戦う中で、いわゆる実写映像の「セット」のようなところで戦うシーン。

TV版の最後や旧劇場版DEATHには、本編の世界観とは異なる体育館のイメージや、ジオラマ的に第3新東京市を眺めるような映像が登場しますが、シン・エヴァンゲリオン劇場版のこのシーンは「特撮的な映像表現とアニメの融合」、であると同時にTV版の最後や旧劇場版を見てきた観客に対しても「今度こそ本当の終わりを提供しますよ、あなたたちのモヤモヤも回収しますよ」というメッセージでもあると感じました。

そして、最後の実写シーンでシンジくんは明らかに世界を改変しているので、「もうエヴァンゲリオンは繰り返さず、彼らは普通の世界で生活をしていくのさ」ってことなわけです。

本編の最後のシーンを見て、中学生のときにはじまった「よくわからないお話」が26年経ち、アラフォーになって、ついに終わったのだなぁ、と感慨深くなりました。

家に帰ってから「関係者の卒業文集」という評判がふさわしいパンフを読み通したのですが、演じている声優さん方も我々観客と同じような感覚でストーリーを追い続けていたこと、がわかって、ネタバレ会話をSNS上ですることができなくても、誰かと「最後」を見た感想を共有した感覚になれたのは良かったですね。

考察好きな人にとっては、新たな謎要素はあるとは思いますが、あれはある種のマクガフィン程度に思っているので、それほど気にせず、いやぁ、本当に気持ちよく終わった、良かった、という感じ。

まさに「さらば全てのエヴァンゲリオン」。