現代のオーディオ機器のあるべき姿の話

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今日はちょっと気になったWebのニュースがあったので、それをきっかけに意見を書いていきます(あまり記事本文の中身には触れない、ということですね)。

アラフォーな私ですが、高校くらい(1990年代後半)まではギリギリ「オーディオコンポ」が親に買って欲しいモノ、に入っていた時代でした。

「ミニミニコンポ」と言われ、SONY pixyとKENWOOD ALLORAが2大ブランド。低価格ブランドとしてSONYの子会社だったAIWAもまだありました。「ミニミニ」と言っても、上位モデルはアンプやCDプレーヤーは幅25cm程度の4ユニット構成で派手なグライコ搭載、スピーカーも3ウェイくらいが普通、という結構な大きさ。

それが2000年頃にはさらに小さくなってマイクロコンポになり、CD/MDチューナーアンプ一体型で幅20cm程度。スピーカーも2ウェイの小型スピーカーに。このマイクロコンポの代表がONKYOのFRシリーズ。

そのまま、少しずつ安っぽくなりながら20年経ったのが家庭用のオーディオコンポの今。MDはなくなり、Bluetooth搭載機種が増えつつありますが、20年に渡って基本構成は変わりません。

量販店に行くと、イヤホン・ヘッドホン、Bluetoothスピーカーが売り場の多くを占めていますが、一方で化石のように変わらないコンポやラジカセが売り場の端の方で売られています。

どこもそうなんですが、国内メーカーは製品構成に歪みがあるんですよねぇ。スマートフォンと一緒に使うような小型のワイヤレスイヤホンやBluetoothスピーカーはあっても、その機能やデザイン性を維持したまま大型化できない。

若者を含む広い世代へ向けた機能を備えたオーディオ機器で、Bluetoothスピーカーよりも大きなものを見つけるのは難しい。

Bluetoothスピーカーよりも大きくなると、いきなりCDを中心的な機能とした野暮ったいマイクロコンポやラジカセになってしまう。もう少し買いやすい価格帯、力の抜けたフレンドリーなデザインでありながら、強力なネットワーク機能を備えたオーディオ機器をラインナップさせるようなことはできないものでしょうか。

メーカー全体としてみると、色々な新製品に挑戦しているように見えても、過去のメインストリームだった「オーディオコンポ」は事業全体として変われずに、置いてきぼりになっている。

ONKYOの場合、企業規模や経営上の理由から今回「上場廃止」となりましたが、据置型オーディオの事業が変われていないのはどこも同じ。

ソニーパナソニックが低価格帯のコンポやラジカセの販売を止めたりするのも、そう遠くないのかもしれません。

ソニーだってウォークマンは風前の灯だし、ハイエンドのオーディオも発表時に話題にはなれど、あまりパッとしない印象なので、本当にイヤホン・ヘッドホンとBluetoothスピーカーしか残らないかもしれません。SA-Z1という高級パワードスピーカーが出ましたが、あの価格でネットワーク機能を搭載しておらず、スマートフォンというのは有線で繋ぐしかない、というのはよく考えてみると今どきの製品としてはおかしい。「事業部内にそっち方面の技術力がないのでは?」と疑ってしまいます。

個人的に「AirPlayに対応したオーディオ機器」が欲しいのですが、国内メーカーの選択肢は少なく、AVアンプのようなものしかない印象はあります。本来、デジタルアンプで小型化が可能だし、再生に関する処理をするシステムも今どき大したサイズにはならないはず、と考えるともっとコンパクトで良い音が鳴る、使いやすいシステムが提案できるはずなのに、とは思ってしまいます。

CDなどの物理メディアが死滅しつつある今、据置型のオーディオ機器のほとんどのスイッチは不要なはずです。

Sonos AmpやAmazon Echo Link Ampなどは、電源スイッチは存在せず、アナログ入力を含む複数の入力端子を備えながらも入力切り替えスイッチも持たず、音声を検知して自動で入力が切り替わるようです。

現代のオーディオ機器はすべてこのような作りであるべきです。

コンテンツを選ぶ操作が機器の外に行ってしまっているネットワークオーディオのシステムにおいて、大量のボタンが付いたリモコンでの操作を要求されるような機器は時代遅れと断言してしまっても良いのではないかと思います。Bluetooth対応コンポだって、結局はMD(MiniDisc)を起動するスイッチの代わりに「Bluetooth入力に切り替えるスイッチ」を付けただけですからね。時代遅れにも程があります。

インテリジェントな機能を備えた機器が、幅広い価格帯で、なおかつ音質に対する多様なニーズに対応できるように多くのメーカーから提供されるようになれば、オーディオ機器が再び家庭の中で居場所を見つけることができるのではないか、と個人的には思うのですが、現状ではあまり期待できないかもしれません。